マンション等の大規模修繕をお考えの方へ
大規模修繕とは
どんなにしっかりした建物を造っても、時間や自然現象の影響を受けて建物は痛みが増してきます。
『大規模修繕工事』とは、建物の経年劣化などにあわせて計画的に実施するまとまった修繕工事のことをいいます。
ここでは主に分譲マンションの大規模修繕の方式を取り上げていますが、賃貸マンションやテナントビル・病院・ホテルなどの公共的な建物にも計画的な修繕や改修は必要です。
その分譲マンションでは、建物や設備の老朽化による劣化や重大な不具合の発生を防ぐために、管理組合が主体となり、長期修繕計画にもとづいた計画修繕を行います。
計画修繕は区分所有者の皆さんが毎月積み立てている修繕積立金を充当して行われ、工事内容が大規模、工事費が高額、工期が長期間にわたるものを『大規模修繕工事』と呼びます。
具体的には外壁補修工事、屋上防水工事、鉄部塗装工事、給水管取替え、排水管取替え、構造補強工事などがあります。
一般社団法人広島県建築士事務所協会では平成14年よりマンション計画修繕部会を発足し、設計の専門家としての建築知識、改修工法や技術などを、意匠・構造・設備・各種関連法規等の面から学び合い、皆さまの大切な資産の維持管理に繋がる知識の向上を行なっております。
マンション大規模修繕のよくある質問
- 大規模修繕工事の進め方にはいくつか種類があると聞きますがどういった方法ですか?
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責任施工方式
施工を行なう工事会社を先に決め、調査・設計・工事を一括して依頼する方式です。
統一された仕様書や設計書・数量書がない事も多く、工事会社側からの提案内容により見積項目や数量が異なるため、見積額の比較が難しい面があります。
「設計施工分離方式」 (コンサルタント方式)
設計等と施工を分離して発注する方式。
建築設計事務所や管理会社がコンサルタントとして調査診断・設計・工事監理を行い、施工会社は施工のみを請け負います。
共通の仕様書や数量書をもって複数の会社に見積入札等を行なうため、比較検討が容易です。
また、施工会社とは立場の異なる工事監理者にチェックや助言を受けることができます。
- 長期修繕計画書では12~15年毎に大規模修繕工事が予定されていますが守らなければいけませんか?
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建物完成時に作成された長期修繕計画書は、一般的なマンションを例として形式上な面で作成されていることもあり、個々のマンションの実態を具体化したものではありません。
国土交通省では12~15年周期での計画修繕を推進していますが、必ずしもそれに従う必要性はありません。
大切なことは、劣化事象の原因や改修方法を専門家に診てもらい、相応の時期に修繕を考える事です。
- 修繕委員会は設立しないといけないのですか?理事会で兼ねることはできますか?
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一般的に理事会の役員は輪番制で1年毎に役割が回ってきて、管理会社のアドバイスを受けながらマンション生活の様々な事を検討していきます。
大規模修繕工事は計画から工事完了までは1〜2年越しでの大事業となり、検討・審議すべき事も多く、出来るだけ担当者が変わらないでいることが円滑な進行には欠かせません。
そのため、普段から理事会の議題などが多く、大規模修繕工事への対応が難しい場合は、理事会とは別に専門委員会としての諮問機関(修繕委員会等)を設けることをお勧めいたします。
建築的な知識は必ずしも必要ありません。
皆さんの大切な修繕積立金を、適切に運用しようと考える修繕委員会の設置が大切です。
- パートナーの依頼先にはどのような種類がありますか?
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管理会社
管理会社は大規模修繕工事についても様々な知識や経験を持つ会社も多く、コンサルタントの選定から業者選定、工事監理まで一貫して関与される場合は、素人集団の場合が多い管理組合からすると頼りになる存在です。
ただし、管理組合の内部事情や積立金の資金状態まで知る立場ですので、透明性や第三者性の面からは十分な検証が必要です。
建築設計事務所
設計と施工分離する方法として、建築士事務所をコンサルタントとして活用する方法が近年増えてきています。
専門的な知識や経験と実績が備わった事務所であれば住民側としても大きな力となります。
ただし、その会社や担当建築士が管理組合にとってふさわしいパートナーであるかどうか、しっかりと見極める必要があります。
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの様々な問題を第三者としてアドバイスしてもある存在として大規模修繕工事での活用が選択肢として考えられます。
しかし、マンション管理士自体が大規模修繕工事のコンサルタントとして調査設計から工事監理まで基本的に行わないため、別に調査・設計・工事監理業務を行なうコンサルタント選定が必要になってきます。
- 大規模修繕工事を専門的に行なっている建築士事務所はありますか?
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建築士事務所であれば設計や工事監理への対応は可能ですが、全ての建築士事務所が大規模修繕のコンサルタント業務を行なっているわけではありません。
新築建物の設計知識の他に、ひび割れのメカニズムや劣化事象の検証・的確な調査方法の提示・区分所有者や管理組合との協議など、通常の建築士事務所では行わない特殊な業務もあります。
そのため実績や経験などを十分に説明できる建築士事務所をお探しください。
- 建築設計事務所を調査・設計・工事監理業務を行うコンサルタントとして選定する場合のアドバイスがありますか?
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建築士事務所の建築士は、建物の設計や工事監理を実務として行なっています。
建物の表面的な劣化に限らず、構造的な問題、下地仕上げの仕様検証や改修後の不具合検証といった事を専門的な目で判断できます。
管理組合にとってはマンションと言う建物の主治医のような存在になります。
そのため第三者的な立場で業務を行なってくれる会社かどうかを見極めることが大切です。
- コンサルタントの選定段階でのアドバイスをお願いします。
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管理組合の皆さんがコンサルタントと言われる建築士事務所を探す方法は、インターネットでの検索や、住民内の建築関係者を通じて紹介を受けるなど、探す手段に乏しいのが現状です。
管理会社の担当者からコンサルタントの紹介をいただける場合もありますが、利害関係や公平性の面では注意が必要です。
いずれの場合も複数社からの説明を受け、その会社のコンサルタント実績や経験、専門的知識のレベルを十分に把握してください。
また、ヒアリングなどを通して自分たちのマンションを担当する建築士の生の声を聞くことも重要です。
コンサルタントの選定では、様々な条件を整理した比較表などを作成し、総合的な面から選定される事をお勧めいたします。
- 調査開始から工事完了までの期間はどれくらいかかりますか?
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大規模修繕工事に関する業務の中で、業務の時期は大きく分けて「調査診断」「実施設計」「施工会社選定」「修繕工事」の4つがあります。
全体でみると、約1年から1年半の期間かかる事になります。
- 施工会社の選定で注意することを教えてください。
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一般的に、施工会社の募集は専門業界の新聞を通じての公募や、管理会社や管理組合員の中から推薦を受け施工会社を募集します。
そして応募してきた施工会社の審査を行い、見積作成をしてもらう事になります。
見積で大切なのは、見積の内訳を明確にする事と見積の期間を全社で揃える事です。
これらは同じ内容で公平に選定する事を目的とするためです。
大規模修繕工事は、管理組合にとっても大きなお金が動く事業になります。
そのため公平・公正な選定を行う事が大切です。
- 大規模修繕の施工会社にはどのような会社がありますか?
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大規模修繕工事が大きく取り上げられるようになったのは2000年頃からです。
当時は主に全国大手のゼネコンや地元の建設会社が請負い、工事をおこなっていました。
近年は、塗装や防水や改修を主に行っている会社が大規模修繕工事の実績を重ねています。
お住まいのマンションの規模や工事内容に合った会社を比較しながら選んでください。
- 工事期間中の定例会議の内容を教えてください。
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定例会議は、管理組合から修繕委員や理事、コンサルタントと施工会社の担当者が出席して行われる会議です。
施工業者と監理者(コンサルタント)のみの会議もあります。
会議で審議される内容は、
- 工事の進捗状況の報告と、今後の予定の説明
- 予算の執行状況の説明と、追加や取止めを行った工事の内容説明と承認
- 工事金額の増減の内容説明と承認
- 組合員や住人、近隣からの苦情やトラブルの報告
- 生活に関わるマンション内の通行の規制や設備などの使用の制限の説明
などとなります。
会議を通して管理組合側が行う事は、説明された内容の審議と承認、理事会や総会を通した組合員への説明、トラブルが起こった際の組合員との連絡調整などとなります。
- 工事期間中の検査にはどのようなものがありますか?
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担当するコンサルタントや施工会社により検査の方法、時期・内容は様々ですが、主な内容では以下の3種類の検査が一般的です。
- 「工程検査」
「中間検査」
(中間出来高確認検査等) - 工事の主だった内容において施工状況を確認する検査です。
主にコンサルタントが立会いを行い定例会議などで報告します。 - 足場解体前検査
- 足場を解体する前に不具合や未施工などを解消する目的で行われます。
立会は主にコンサルタントが行い定例会議などで報告します。 - 竣工検査
- 工事竣工前に完了状況を確認するための検査です。
修繕委員会や理事の立会を行う事もあります。
- 「工程検査」
- マンションの設備で劣化調査や診断が必要な項目を教えてください。
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対象となる項目は、エレベーター、給水管や排水管、機械式駐車場、消防設備、インターホン、電話・インターネット関係設備、テレビ共聴設備などがあります。
- マンションの耐震診断について教えてください。
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個々のマンションにより様々な事情が考えられます。
詳しくは■耐震診断・耐震改修をお考えの方へをご参照ください。
- 修繕積立金や長期修繕計画書の見直しについて教えてください。
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大規模修繕工事を進める上で長期修繕計画書の見直しは重要です。
新築時に作られた計画書や修繕積立金の年度金額はあくまでも目安であり、個々の状況に合わせて少なくとも5~7年ごとに見直しをするよう国土交通省からも推奨されています。
長期修繕計画書の見直しは管理会社に依頼することも可能ですが、コンサルタントに見直しを依頼する事も可能です。
- 賃貸マンションやテナントビルなどの一般建築物の大規模修繕工事の相談はできますか?
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大規模修繕工事というと分譲マンションが主に取り上げられます。
これはマンション購入時から事前に作成されている長期修繕計画書などが存在し、修繕積立金の積み立てをおこなっているため、比較的工事へのステップが進めやすいためです。
一方、長期修繕計画書や積立金そのものが新築時から計画されていない建物は、いざという場合の計画は進めにくいことが多いです。
一般社団法人広島県建築士事務所協会のマンション修繕部会では、分譲マンションの大規模修繕工事のみでなく、公共建築物の改修設計に関与する建築士事務所もあります。
部会内で各建築士事務所のノウハウを共有し、さまざまな建物の維持管理の御役に立てるよう、日々学び続けています。
マンション計画修繕部会紹介
活動内容
- 委員会活動
- 講習会(ここが知りたいセミナー)
- 相談会
- マンション管理士会との意見交換会
マンション計画修繕部会 委員名簿
委員名 | 事務所名 | 地域 | TEL |
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部会長 山下 竜正 |
設計 (有)シグマ建築事務所 |
広島市中区 | 082-243-3640 |
委員 宇津森 大 |
設計 アクア建築設計(株) |
広島市中区 | 082-555-0120 |
委員 土居 一憲 |
設計 (株)オービット設計 |
広島市南区 | 082-252-2320 |
委員 立石 光紀 |
設計 (有)立石建築設計 |
広島市西区 | 082-527-2187 |
委員 大倉 將裕 |
設計 コムズアーキクリエイト |
広島市東区 | 090-6432-2266 |
委員 粟根 一幸 |
施工 粟根建設(株) |
府中市 | 0847-45-4427 |
委員 佐々木 聡 |
施工 (株)サンゼオン |
広島市西区 | 082-291-1631 |
委員 奥河内 貴明 |
施工 (株)テクシード |
広島市東区 | 082-516-1070 |
委員 長崎 邦彦 |
施工 (株)長崎塗装店 |
広島市西区 | 082-233-5600 |